カテゴリー「映画/ア行」の記事

狼の時刻<未>

Hour_of_the_wolf


HOUR OF THE WOLF

【1966年製作 スウェーデン】( 85min )
監督:イングマール・ベルイマン
出演:マックス・フォン・シドー、リヴ・ウルマン、イングリッド・チューリン

北海の小さな島に住む画家のユーハンとその妻アルマ。ユーハンは昔の恋人ヴェロニカを忘れられずにいる。ある日島の館に住む男爵家から晩餐会に誘われ・・・


映画は妻アルマ(リヴ・ウルマン)の語りで始まり、淡々と物語が進行していく。
冒頭から画家で夫のユーハン(マックス・フォン・シドー)はどこか病んでいる印象がある。
ある日ユーハンの日記を留守中に読み、どうやら夫は昔の恋人が忘れられないのだと身重のアルマは悟る。
そんな時、島の館に住む男爵から家に招待されるが、そこで出会った男爵やその夫人ら、彼らのどこか異様な雰囲気はこの映画をより一層不気味なものに作り上げていると思う。
よくわからないけれど…彼らの会話、笑い声等々が正常ではなく、誰も彼もが正気の沙汰ではない気がするのだ。
私の思い込みというか、映画を観ていてずっと彼らは生きた人間の感じがしなかった。何故だろう?
ここに出てくる人物たちが異常なのか・・・映画を観ながら自分こそ頭がおかしくなったのではないだろうかなどと考えながら観ていた。

確かに映画の中でユーハン自身は罪の意識に苛まれていた。
彼ら…館の住人は例えば生きた人間を貪るような死人で、いつかユーハンもアルマも彼らの餌食になるんじゃないかと思っていた。
弱い心につけ入っては肉体から精神から全てを喰い尽くしてしまう“グール(屍鬼)”のような存在。

実際映画も終盤なろうという頃になってようやく彼らはやはり“正常ではなかったんだ”と気づいたのだが・・・

特に大胆な映像描写があるわけでもなく、台詞も多くはない。
しかしベルイマン監督はやはり只者ではないと思わせる。
さすがだ。

 


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インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~《マスターズ・オブ・ホラー シーズン1》

Inprint


IMPRINT

【2005年製作 アメリカ】( 63min )
監督:三池崇史
出演:工藤夕貴、ビリー・ドラゴ、根岸李衣、美知枝、岩井志麻子

19世紀の日本。小桃という日本人女性を捜すためとある島にある遊郭を訪ねるアメリカ人ジャーナリストのクリス。彼はそこで、小桃を知る醜い素顔の女郎と出会う。やがてクリスは、女郎の口から小桃の最期と、女郎自身の忌まわしい過去を聞かされることになる・・・


ぼっけえ、きょうてえというのは、岡山弁で、“凄い怖い”という意味らしい。

「ヘルレイザー」「ホステル」も観ているだけで“痛い”映画だったが、これも痛い。それもかなり。
そしてタイトルどおりある種独特の怖さはあった。生きた人間の怖さとでも言うのか。
個人的に「ヘルレイザー」のような究極のPain & Pleasureの世界観が好きな私としては、この作品は自分を満足させるのに十分だった。
勿論痛いとか怖いだけが売りじゃあないってところがね。
ホラーがキライだという人は恐らく観ないだろうが(一応マスターズ・オブ・ホラーと銘打っているので)、好きな人でも「流石にこの作品は・・・」という人は絶対いる。断言する(笑)
それ程劇中出てくる拷問シーンは、ホラーに免疫がある私でさえも目を背けたくなった。
ただ、それらのシーンは確かにおぞましいけれど、同時に美しくもあった。
悲しい女たちの物語。

おぞましいと言えば、映画に出てくる女郎(工藤夕貴)。
個人的な印象では「ツィゴイネルワイゼン」の大谷直子に通じるものがあり、役名はなかったがその存在感は凄かった。
最初の登場シーンからしてミステリアス。妖しさが漂っている。
顔は一部醜く口が裂けているような感じだが、それを除けば、とても魅力的な女性にも見える。そして他の女郎たちとは一線を引いた存在。

小桃が自殺をしたことを聞いて愕然とするクリストファー。
女郎の口から語られた小桃の“本当の”最期と、女郎自身の生い立ち・・・

日本の昔の怪談話にも通じるようなストーリー展開にワクワクしながら観た。

タイトルが、何故インプリント─Imprint─なのか、最後まで観れた方はその意味もお分かりになるだろう。

そう。知らなければよかったのにねぇ・・・


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大人は判ってくれない

Les_quatre_cents_coups
LES QUATRE CENTS COUPS

【1959年製作 フランス】( 102min )
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャン=ピエール・レオー、アルベール・レミ、クレール・モーリエ

12才のアントワーヌは勉強ができなくて先生に叱られてばかり。家に帰れば子供に無関心な両親から冷たくされる。そんな息苦しい毎日を過ごしていた。
弱冠26才の若きトリュフォーの記念すべき長編第一作。不良少年だったトリュフォー自身の自伝的作品。


子供は子供らしくしなさいとか・・・昨今いろんなところでこのように言われてるんではないか。

大人は判ってくれない。

上手い邦題だなと、最初このタイトルを見てそう思った。
原題は「400回の殴打」という意味らしいが、「大人は判ってくれない」の方がしっくりくる感じがする。
“大人たちって全然子供の気持ちを理解してない”“子供の言葉に全く聞く耳を持たない”etc
この映画を子供時代にもしも観ていたら私の感想もちょっと変わったのかもしれないが、ひと言で言うと大体こんな感じだ。

例えば、子供がちょっと大胆な行動に出るとすると、大人っていうのはここぞとばかりに「大人の権力」というものを振り翳し、「お前は間違っている。大人の言うとおりにすればいいんだ」と、子供に対し酷い言葉を浴びせることもある。大人たちは自分たちが世の中のモラルだと言わんばかりにだ。私も娘がいるので多かれ少なかれ、例えばイライラしている時はヒステリックになって同じようなことを言っているんだろう。本当に嘆かわしい。ごめんよ。

映画の中では、大人たちが極端に描かれていた。
ワンマン過ぎる教師。今だったら考えられないような暴言の数々。「ここ(学校の中)では、私が法律だ。私に従わないのなら、出て行け!」「おまえは頭が悪い。何やってもダメだ」etc少年アントワーヌでなくとも、私でも猛烈に頭にきた。
アントワーヌの両親も同じ。後で母の連れ子だと知って納得した箇所もあるが、それでも少なくとも母親にとってアントワーヌは血を分けた息子。「なんで私のことが憎いのかしら」なんて、どの面下げて言ってるのか。途中愛情の押し売りみたいなシーンがあって、思わず顔が引きつってしまった。

結局アントワーヌは、学校や家に居場所がなくなって、終いにはタイプライターを盗み出し、返却したところを見つかり警察に連れて行かれ、少年鑑別所へ送られるのだが・・・。

トリュフォーの自伝的作品らしいが、彼自身も孤独な少年時代を送っていたようだ。

彼は映画に出会わなければ、彼自身どのような人生を送っていたんだろうか?と考える。
決して幸福ではなかった少年時代。トリュフォーの特に人物に対する観察眼は、映画の中でアントワーヌを見ればいかに優れていたのかがよく分かる。

それと、子供は大人の所有物ではない。
世の中いろんな家族がいて、親子がいるけれど、私が思うに、親にとっては自分の子供でも、己の分身なんかじゃあない。勿論血を分けた子供は確かに自分の分身・・・に近い存在であっても、彼らは歴とした個の人格を持った立派なひとりの人間であって、分身じゃないと私は思う。
考え方、嗜好etcが似てるところはあっても、全く同じではないのだから。

この映画に出てくる大人たちって・・・なんというか、かなり格好悪い。滑稽だ。
勿論時代背景なども今とは違っているから一概には言えないけれど、この映画をいい教訓として、私自身「こんな大人にはなりたくない」─と願う。

 


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The_hole_2 THE HOLE

【2001年製作 イギリス】( 105min )
監督:ニック・ハム
出演:ゾーラ・バーチ、デスモンド・ハリントン、ダニエル・ブロックルバンク、キーラ・ナイトレイ


イギリス名門のとあるパブリックスクールに通う男女4人の生徒がある時忽然と姿を消した。リズ(ゾーラ・バーチ)という少女がただ一人18日後に生還し、彼女の口から事件の真相が次第に明らかになっていくのだが・・・


※ネタバレあり※


古今東西問わず思春期の少女の心の闇をモチーフにした話は数多く・・・はないだろうけれど、度々お目にかかることがある。
この映画に登場するリズも、そのひとりだ。

以前「悪い種子(たね)」という1956年製作の古い映画のことを書いたが、こちらは8歳の子供だった。リズの年齢の恐らく半分位なので若干シチュエーションがちょっと違うかもしれないが、邪悪な心を持った娘ローダに悩まされる母親クリスティーンの苦悩を描いた映画。ネタバレしてしまうと、悪い遺伝子を受け継いでいるからこのような邪悪な心を持った子供が生まれたのだetcのような件(くだり)がある。一応悪事をする子には理由(わけ)があるという説明が映画の中でなされているのだ。

本もいくつか思い出したところで、似たようなタイトルの「悪い種子が芽ばえる時」。
タイトルに惹かれて前に偶然一度読んだだけなのだが、「穴」に出てくるリズはどちらかといえば、ギルが書いたザニーに近いような印象がある。リズの心に潜む邪悪な心は、少女の頃はどうだったのか?などと詳しくは描かれていないので、何故こんな大それた恐ろしい事をしてしまうような少女に成長してしまったのだろう?と不思議に思うところはある。果たして原作を読んでみればその理由も分かるのだろうか?恐らく理解はできないだろうけれど。
他にも前に書いたアン・クリーヴスの「大鴉の啼く冬」に出てくる・・・おっと!これ以上は完璧ネタバレになるので書かないようにしよう(^^;;

映画としては、もうちょっとここは○○の方がよかったなぁとかツッコミたい箇所はいくつかあるけれど、私自身はこの映画決して嫌いじゃない。イギリスの伝統的なパブリックスクールと“防空壕”の中が物語の舞台という設定が、この映画全体の不気味さと相まっていい感じ。

依存心・愛執・・・
リズの心理は計り知れないけれど、人一倍強いと感じた。他のこと(人もそうだけど)はどうでもいいの。彼女にとっては。

“彼が好き”の一心で、リズに振り回された人は結果命落とすわけだから・・・ヒドイなぁ。

リズ役のゾーラ・バーチ。
「アメリカン・ビューティー」「ゴーストワールド」etcと、子役時代から活躍されている女優さんだが、若いながらしっかりした演技力がある。決して美人タイプというわけじゃないが、人を惹きつける不思議な魅力(魔力?)の持ち主。とにかくこの手の女優さんは眼力(メヂカラ)があるかもね(^∇^)クリスティーナ・リッチに通じるところもあるけど・・・もうちょっと年が上だと、ジェニファー・ジェイソン・リーのような感じ?
演技で勝負できる人、説得力がある人は、顔立ちがどうのこうのなんて二の次なんだろうなぁ…


 

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インソムニア

Insomnia INSOMNIA

【2002年製作 アメリカ】( 119min )

監督:クリストファー・ノーラン
出演:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンク


タイトルのインソムニアは日本語に訳すと「不眠症」。
随分と日本語の意味と言葉の響きが違うなぁと思いつつ、インソムニアといえば真っ先に思い浮かべるのがゲーム(またゲームに話が脱線してごめんちゃい)のダビスタではお馴染みだった繁殖牝馬の名前。
関係ないけどこの繁殖牝馬につければ、間違いなく産駒はG1級(笑)

さてさて、映画の話に戻すけど…

ノーラン監督の作品ではやはり「メメント」を思い浮かべてしまうが、この映画の主人公ウィル(A・パチーノ)もまた不眠症に悩まされる刑事を見事に演じていたと思う。
個人的に彼の演技は高く評価していい。というか流石だと思うが…ただ…
映画として個人的な率直な感想を述べると残念ながらこの作品は「不完全燃焼」な印象をどうしても受けてしまうのだ。

サスペンスとしてなかなかよく出来ている話の筋ではあるけれど、全体的にどう言ったらいいのか、何となく大味な感じがするのだ。
冒頭から相棒ハップが銃弾に倒れるまで…は良かった。その後のストーリー展開の方がタイトルの「インソムニア」には相応しいと思うが、この後の展開が私はどーしても好きになれない…
単なる好みの問題だと思うけど。

H・スワンク演じる“やる気を絵に描いたような”女刑事。
彼女がもしもちょっとでも不真面目なところがあったらこの映画は成立しなかったんだろうなぁとは思うけど(笑)

関係ないけどR・ウィリアムズはこの映画では「えーーーっ!」っていう役柄を演じているけど…どうしても“人のいいおっちゃん”にしか見えない(^^;
まぁたとえ殺人者でもこの人は基本的には“いい人”なのかもしれないが…ちょっとサイコが入った…
演技が拙いとかそういう問題ではないんだけれど…う~ん。うーん。うーん。

アル・パチーノはこういう役をやらせたら右に出る者は恐らくいないんじゃ…っていうくらい見事ではありました(^^)

※うちのぶぅの感想はこちら


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生きる

Ikiru 生きる

【1952年製作 日本】( 143min )

監督:黒澤明
出演:志村喬、日守新一、田中春男、小田切みき、千秋実

戦後間もない頃はまだ癌はやはり不治の病だったのだろう…
告知を受けたらまず助からないという時代。
この映画の主人公はもそうだ。彼は数十年もの間自分自身の生にあらたまって目を向けることはなかったように思う。
癌と告知されてから初めて「生きる」とは何かの意味を考え始めたのだ。
もしこの主人公の立場を自分に置き換えて考えてみるとしたら、果たして私だったら一体何をしようとするのか、何を真っ先に考えるのだろう…人生の終焉に─。

少なくともこの映画の主人公はいろんな葛藤さえあったけれど、ついにそれを見出した。
周囲には理解できないような神がかり的な行動力を見せ始めたのだ。
1日1日を大事に悔いなく生きようとするのは素晴らしいことだが、時には難しいことでもある。
自分ひとりの力ではどうにもならないことだってある。
彼は命を削ってまでそれをやり遂げた・・・。


****************************************************


2時間超の長い作品ながら全然飽きることがない。
無駄らしい無駄のないストーリー構成。分かりやすい人物の描かれ方。
話の内容もとてもシンプルで日常的なことを淡々と描いているだけなのに、本当に見所のある作品だと思う。
途中志村喬が「命短し、恋せよ乙女」と歌う辺りは本当に胸がつまる。

人間をよく観察していなければこんな映画は絶対にできないと思う。
黒澤監督の映画に対する拘りをこれまで自分が観た7作品どれにも共通して感じる取ることができる。
最近某フランス映画を観て本当に気分が悪くなった旨のことを書いたが(実際かなり引きずっている…)、そんな思いを一掃させてしまうくらい黒澤監督のエネルギーを感じた。
監督は亡くなってもなお映画という媒体を通して今の時代の私たちに人間の素晴らしさを見せつけてくれる。

また話が元に戻りそうになってしまうが、映画というのは本来こうあるべきだと改めて感じた。

自らが「こっちは勝手に作ったから…後はみんなで考えてみて。どの意見もどこから観ても構わないし、誰がどう思おうがそれらは全部正しい・・・」のようなことをおっしゃる某監督さんの作る映画なんて本当に観たくもない。



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天城越え

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天城越え

【1983年製作 日本】( 99min )

監督:三村晴彦
出演:渡瀬恒彦、田中裕子、平幹二朗、伊藤洋一、吉行和子


観た順番もそうだが時期も悪かった…最近実際に起きた銃撃事件が日米共にあまりに強烈な印象で脳裏に焼きついてしまい、どうしてもこの映画の「世界」に入り込めず観終わってしまった感じだ。

田中裕子演じる娼婦ハナは女性の目から見ても非常に艶やかで魅力的であった。
14歳の少年(伊藤洋一)と道中一緒に旅するシーンは良かったと思う。
少年役を演じた伊藤洋一も概ね好演していたと思う。
冒頭の方で少年の履いていた草履の鼻緒が当たって足の親指と人差し指の間が擦れてしまったシーン。道中出会う見るからに怪しい男。この男と最初すれ違った際たまたま一緒にいた旅の男に「あれは土工だね。流れ者だからね。悪いことするのはああいうやつだ」と言われるシーンもそうだが、これらが終盤に伏線として生きてくる。特に後述の台詞は少年の“衝動的な”行動に少なからずとも影響していると言えるのではないか。
父親を亡くし母親とおじの情事を目の当たりにして、耐えられないもどかしさから静岡に住む兄に逢うため家出をした少年の微妙な心理もよく分かる。

しかし映画の繋ぎ部分に多少違和感を感じたところもある。過去と現在を行ったりきたりするのはストーリーの上でしょうがないとしてもちょっとメリハリがないように感じた。
それと、渡瀬恒彦は別に嫌いな役者ではないけれど、若い頃を演じている彼が30年も時を経た役を演じるというのにはいくらなんでも多少無理があったのではないだろうか。歩き方などは別に感じなかったのだが台詞の言い回しが老けた役柄を“かなり無理して”演じているような印象があった。

それにしても木樹希林は本当に上手いなぁ。役柄上出演シーンが少ないのが残念だ。


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赤ひげ

Akahige 赤ひげ

【1965年製作 日本】( 185min )

監督:黒澤明
出演:三船敏郎、加山雄三、山崎努、団令子、桑野みゆき

時は江戸時代。小石川養生所で通称"赤ひげ"と呼ばれる所長新出去定(三船敏郎)と青年医師保本登(加山雄三)の心の交流を描いた人間ドラマ。

「素晴らしい」のひとこと。
この映画についてこれ以上の言葉はいらないのではないか。何を言っても陳腐に思えてしまう。誰が何と言おうとこの映画は紛れもなく傑作。
3時間余りの長編作にも関わらず時間の長さを全く感じさせなかった。
人物が沢山出てくるが、みな個性的であり演出も昔の映画だということを忘れさせてしまう。
ちょっとオーバーなくらいの演出が私には丁度よい。

嫌々ながら養生所にやってきた青年医師保本を演じた若かりし頃の加山雄三は、若者特有のツッパった感じが出ていて良かったし、同じく養生所で働く半太夫(土屋嘉男)の生真面目さ、勿論保本を支える去定を演じる三船敏郎に関しては文句なくクールでカッコイイのだ。

保本の目線で描かれる養生所の患者たちには様々な人間ドラマがある。
去定先生通称"赤ひげ先生"。彼の台詞が粋だ。
赤ひげ先生の台詞が映画の中で息づいている。人情味溢れる彼の台詞は観る者の心を動かす。

いくつか印象に残っている台詞があるが、彼が医者としてだけでなく人間としていかに素晴らしい人物かが理解できるシーンでは私が好きな台詞がある。
養生所内で六助の余命が僅かだと分かってから去定保本に言う台詞。

『医者にはその経緯と病状は分かるし、生命力の強い個体には多少の助力をすることができる。だがそれだけのことだ。現在我々にできることは貧困と無知に対する戦いだ。それによって技術の不足を補う他はない─中略─しかし問題はもっと前にある。貧困と無知さえ何とかできれば病気の大半は起こらずに済むんだ』

また、
『人間の一生で臨終ほど荘厳なものはない』
この一語につきる。これが医者というものだと思わせる名台詞だ。

去定には他にも名台詞があるが、それらは時には笑いもあって、彼は医者としてだけでなく、人間的にも魅力的な人物だと感じることができる。

山崎努演じる佐八、桑野みゆきが演じるおなかの回想シーンも胸を打つ。
佐八が息を引き取る間際のシーンは涙なくては観れないし、香川京子演じる狂女や六助の娘おくに(根岸明美)も本当にいい味を出している。

また娼家の女主人(杉村春子)に引き取られ、虐げられてきた少女おとよは若かりし頃の二木てるみが演じていたのは後から知った。
大人になってからの彼女しか知らなかった私は、おとよを演じる彼女が衝撃的でさえあった。
それだけ二木てるみ演じるおとよは本当に素晴らしかった。
娼家から病気のため養生所に引き取られ保本に看病されるものの、度重なる虐めのせいで人間不信になっていたおとよが、次第に本来の人間性を取り戻す過程は本当に見事だと思う。
終盤。おとよと“小鼠”長次(頭師佳孝)。彼女らがいなければこんなに感動することはなかったかもしれない。
頭師佳孝の名子役ぶりも堪能した。

涙脆い私はこの映画を観ている最中にどれだけの涙を流したか分からない…



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怨霊の森

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THE WOODS

【2006年製作 アメリカ】( 91min )

監督:ラッキー・マッキー
出演:アグネス・ブルックナー、パトリシア・クラークソン、ブルース・キャンベル

昨日100円レンタルで(とはいってもまた少し離れた○○○店ではレンタル1本80円になってました^^;)映画を沢山借りてきてしまったので、今週はイヤでも(?)映画三味になってしまいそうな予感。
りざぶぅと娘と私で合わせて10本は借りてしまった…
ちなみに私のセレクトは今週は何故か邦画中心。最近何となく邦画に興味沸いてきてて…

また話がいつものように飛んでしまったのだが、昨夜観たのはまたもやホラー色の作品。
監督がL・マッキー。この監督作品では「メイ」「虫おんな」があるが、実は「メイ」はビデオがあるにも関わらず未見。もうひとつの「虫おんな」はついこの間観た。「虫おんな」ってエグイタイトルだなぁ~と思いつつ実はこれは“マスターズ・オブ・ホラー”の作品のひとつで…

と、またまた関係ない話に飛び火(^^;いつもごめんなさい。
いつも、ついつい話が長くなってしまうのがいかんなぁ・・・

さてさて、この「怨霊の森」。
タイトルがパッとしないのが気に入らない。どこにでもありそうなタイトルで面白くない。実際中身も「傑作だ!」という作品ではなかったが、そこそこ楽しめた。映像はなかなか綺麗だし雰囲気もよかった。
主演の女の子ヘザーに扮した女優がアグネス・ブルックナー。あの米版「呪怨─THE JUON」やその他諸々の話題作にも出演しているクレア・デュバルを若くしてもうちょっと可愛くした感じの女の子だ^^

放火のトラブルを起こし両親の勧めで周囲が森に囲まれた全寮制の女子校にやってきたヘザー。そこにやってきた彼女は次第に学校に憑いている森の怨霊から逃れられなくなっていく…

第一印象は、あの「サスペリア」を思い出した。校長先生や彼女を取り巻く他の先生の雰囲気が異様なので。
女子学園ものの“魔女”絡みのお話ということで、他に「ザ・クラフト」も思い出した。森が意志を持ったというところ(実際にはちょっと違うが)では「ガーディアン/森は泣いている」なども挙げられるだろう。
とにかくいろんな映画の要素が詰まった感じがした。

正直私は怖いという作品ではなかったが、全編に不気味さが漂う映画だ。
何故彼女は選ばれたのか?をもうちょっとオーバーに詳しく描いてもよかった気がするのだが、時々「キャリー」を思わせるようなヘザーの特殊な能力を見せるところはなかなか良いと思った。
ただこの映画って"盛り上がる"箇所がない^^;それが良いとか悪いとかではなく、とにかく盛り上がらないのだ。
そういう意味ですごく不思議な映画だなぁと思う。

ヘザーの父親役であのサム・ライミ監督の「死霊のはらわた」シリーズでお馴染みのブルース・キャンベルが出てたのが良かった。彼はこの作品では真面目~な役どころだったが、何故か彼が登場するだけで笑えてしまったのは何故だろう・・・^^;



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オデッサ・ファイル

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【1974年製作 イギリス・西ドイツ】( 129min )

監督:ロナルド・ニーム
出演:ジョン・ヴォイド、マクシミリアン・シェル、マリア・シェル


1963年ハンブルク。ルポライターのミラーはとある自殺した老人が残した日記から元ナチスSS隊員たちによる秘密組織“オデッサ”の存在を知る。彼は秘密を暴くためにSS隊員に扮し組織に潜入するが・・・


本当に久々の映画話題だ…
ここ最近は別に選んで観ている訳でもないのに何故か「ドイツ・ナチス」絡みの映画だったりする。
実は観ている最中に邪魔が入ってそれから観ていない「ブラジルから来た少年」もそうだ。この映画は近々ラストまで観ようと思っている。
私はナチスのことは一般的に言われているようなことしか本当に知らないが、この映画はなかなか興味深く観れた。

主役のルポライター演じるJ・ヴォイド。言わずとしれた今をときめく(?)スター、アンジェリーナ・ジョリーのお父さんだ。唇はそっくりだなぁとずっと思っていたが、年老いた今の彼ではなくこの映画に出ていた頃のジョン・ヴォイドを見ていると、「実はこの親子ってそっくりじゃ…」なんて思ったりする。またまた内容には関係ない話で^^;

で、ジョン・ヴォイドお父さん。なかなか良かった^^
原作も私の好きな「ジャッカルの日」の原作者フレデリック・フォーサイスだし(最も原作は未読だけれど…)想像以上に期待を裏切らない作品だった。

ただ途中までは「何故ミラーはこんなにも執拗にオデッサの秘密を知りたがるんだろう…たとえそれが仕事だからって…」なんて感じで観てました。だって命懸かってますから。歩が合わないなぁと思うのは当然だろう。

が、

その理由は映画のラストで。

それはここでは決して言えない><
ひとことだけ。オデッサの秘密が分かるというよりも・・・ミラーの…(発言自粛)。

私はこの映画を淡々と観ていてラストの方で「あれ?そうなん?え!?マジ?えーーーっ!」でした(笑)

んじゃあこの映画って一体…ともちょっとは思ったかな(謎)強引とも思えるこの結末には驚きだった。

思えば「ジャッカルの日」でもスナイパーがラスト…だったし(う~ん。これも書きたいけど書けないジレンマが(笑))

殆ど感想らしい感想書いてないけど(笑)興味沸いた方は是非ご覧になって下さい。


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