告発のとき
IN THE VALLEY OF ELAH
【2007年製作 アメリカ】(121min )
監督:ポール・ハギス
出演:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドン
退役軍人のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、イラクから帰還してくるはずの息子マイク(ジョナサン・タッカー)が脱走したという知らせを受ける。息子を探すために現地へ向かい、地元警察のエミリー・サンダース刑事(シャーリーズ・セロン)と共に息子を捜すが、やがてバラバラになったマイクの遺体を発見する・・・
※ネタバレあり
実話がベースらしいが、すごく引っ張り過ぎたかなという印象。
決して悪い映画ではないと思う。後味は良くないが、私が嫌いな映画ではない。
ただ傑作まではいかない。あと一歩で傑作になったかなという作品だとは思うが。
邦題の告発のとき。
多くの人が同じこと言っているみたいだが、このタイトルがだいたい違うんじゃないか・・・
原題をそのまま訳すと“エラの谷(へ入る)”だろうか。
この「エラの谷」の話はちゃんと登場する。とても意味のあるシーンとして。
“告発のとき”では映画の中身から考えて、あまりにも先回りしすぎた感じがする。
それ故に、タイトルと中身に若干の違和感を感じてしまうのだ。
結末はとてつもなく切ない。
マイクが死んだ事実と死んだ理由が分かるにつれ、どうしようもなくやり切れないという父親ハンクをトミー・リー・ジョーンズが上手く演じていた。
また、母親役のスーザン・サランドンは出番が少なかったにも関わらず存在感があった。
変わり果てた自分の息子の遺体を見た時の彼女の表情や台詞が非常に印象的だ。
エミリー役のシャーリーズ・セロン。わざと地味に見せていて、正義感の強い刑事役に徹していた彼女の演技に対する姿勢はやはり凄いなぁと思う。
戦争が起こる限りこの種の問題はまだまだ出てくるだろう。
ごく普通の人間が、自分自身を見失ってしまう・・・
こういう作品を観る度に、このような悲劇は二度と起きなければいいなといつも考えてしまう。
ハンクがエミリーの息子デイビッドにお話を聞かせてやるシーンがある。
王様がダビデに巨人ゴリアテの討伐を命じるというお伽話。
デイビッドが映画の中で母親のエミリーに「なんでダビデは子供なのに王様は戦いに行かせたの?」と聞く。
子供の台詞がこの映画の肝であり、彼の方が小さいながら、世の中の善悪を純粋に理解しているんじゃないかと。
恐らくマイクも小さい頃はこういう子供だったのだろう。
父親のハンクを尊敬していた彼は、いつか父親のような軍人になり国のために全力を尽そうと、最初は期待に胸を膨らませていたに違いない。
けれど、悲劇は決してなくなりはしない。
人を悪魔にも変えてしまう。それが戦争なのかもしれない。
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