カテゴリー「映画/カ行」の記事

告発のとき

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IN THE VALLEY OF ELAH

【2007年製作 アメリカ】(121min )
監督:ポール・ハギス
出演:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドン

退役軍人のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、イラクから帰還してくるはずの息子マイク(ジョナサン・タッカー)が脱走したという知らせを受ける。息子を探すために現地へ向かい、地元警察のエミリー・サンダース刑事(シャーリーズ・セロン)と共に息子を捜すが、やがてバラバラになったマイクの遺体を発見する・・・

※ネタバレあり

実話がベースらしいが、すごく引っ張り過ぎたかなという印象。

決して悪い映画ではないと思う。後味は良くないが、私が嫌いな映画ではない。
ただ傑作まではいかない。あと一歩で傑作になったかなという作品だとは思うが。

邦題の告発のとき。
多くの人が同じこと言っているみたいだが、このタイトルがだいたい違うんじゃないか・・・
原題をそのまま訳すと“エラの谷(へ入る)”だろうか。
この「エラの谷」の話はちゃんと登場する。とても意味のあるシーンとして。

“告発のとき”では映画の中身から考えて、あまりにも先回りしすぎた感じがする。
それ故に、タイトルと中身に若干の違和感を感じてしまうのだ。

結末はとてつもなく切ない。
マイクが死んだ事実と死んだ理由が分かるにつれ、どうしようもなくやり切れないという父親ハンクをトミー・リー・ジョーンズが上手く演じていた。

また、母親役のスーザン・サランドンは出番が少なかったにも関わらず存在感があった。
変わり果てた自分の息子の遺体を見た時の彼女の表情や台詞が非常に印象的だ。

エミリー役のシャーリーズ・セロン。わざと地味に見せていて、正義感の強い刑事役に徹していた彼女の演技に対する姿勢はやはり凄いなぁと思う。

戦争が起こる限りこの種の問題はまだまだ出てくるだろう。
ごく普通の人間が、自分自身を見失ってしまう・・・
こういう作品を観る度に、このような悲劇は二度と起きなければいいなといつも考えてしまう。

ハンクがエミリーの息子デイビッドにお話を聞かせてやるシーンがある。

王様がダビデに巨人ゴリアテの討伐を命じるというお伽話。

デイビッドが映画の中で母親のエミリーに「なんでダビデは子供なのに王様は戦いに行かせたの?」と聞く。
子供の台詞がこの映画の肝であり、彼の方が小さいながら、世の中の善悪を純粋に理解しているんじゃないかと。

恐らくマイクも小さい頃はこういう子供だったのだろう。
父親のハンクを尊敬していた彼は、いつか父親のような軍人になり国のために全力を尽そうと、最初は期待に胸を膨らませていたに違いない。
けれど、悲劇は決してなくなりはしない。
人を悪魔にも変えてしまう。それが戦争なのかもしれない。


 


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木靴の樹

The_tree_of_wooden_clogs


L'ALBERO DEGLI ZOCCOLI

【1978年製作 イタリア】( 187min )
監督:エルマンノ・オルミ
出演:ルイジ・オルナーギ、ルチア・ペツォーリ、オマール・ブリニョッリ


19世紀イタリア北部のとある分益小作農場に暮らす4家族に起こるさまざまな出来事を描いた秀作。
バティスティは、息子ミネクの壊れた木靴を新しく作ってやるために、止むを得ず地主の土地に生えているポプラの木を、こっそり切り倒してしまう・・・。


ここに出てくる農民たちは、誰ひとりとして地主に盾突くわけでもなく、日々神に感謝し、農民同士の繫がりをとても大事にし、貧しいながら日々一生懸命に生きている。
健気に生きる彼らの“生”に対する執着心というか、人が生きていく根本的な意味をこの映画を通して見た気がする。
それは季節ごとに農場で収穫される作物であったり、豚の屠殺だったり、生活を少しでも楽にしようと孫娘と一緒に祖父がこっそり植えたトマトの苗だったり・・・

そして、息子のために地主の土地にある木を切り倒し彼のために靴を作ってあげる優しい父親。その木を切ったことが原因で結局は地主の怒りに触れ、乳飲み子を抱えた少年ら家族は路頭に迷うことになる。
彼らをひっそりと見送る他の農民たち家族の姿が焼きついて、どうしようもない切ない想いが痛いほど伝わってくるエンディング。

映画として派手に脚色された作品でもないのに、3時間を超えるこの映画が私の心を揺さぶったのは、監督のE・オルミが広大な19世紀北イタリアの大地に息づく農民の姿をリアリティをもって追求し、作品を完成させるのに妥協を許さなかったからであろう。
人が人らしく生きるということが、こんなにも過酷なのかと辛い描写もあるが、たとえ彼らの生活は貧しくとも彼ら自身の心は非常に豊かだ。決してハートウォーミングな作風に頼ることなく、厳しい農民たちの生活そのものを淡々と赤裸々に且つ自然光だけの少しセピアがかったような映像で見事に描かれている。

美しい映像の中で佇む彼らは、まるでミレーやコローの絵画から飛び出てきたようだった。


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ゴースト・ハウス

The_messengers_2 THE MESSENGERS

【2007年製作 アメリカ】( 90min )
監督:オキサイド・パン、ダニー・パン
出演:クリステン・スチュワート、ディラン・マクダーモット、ペネロープ・アン・ミラー


アジアンホラー「The EYE」のパン兄弟が監督&サム・ライミが製作ということで密かに楽しみにしていた作品ですが・・・
観終わった率直な感想は特別可もなく不可もなく・・・といった感じでしょうか。
また間隔が空いてしまったので、なんだか煮え切らない感想になってしまいました。

昔マーゴット・キダーが出ていた映画で「悪魔の棲む家」(リメイク版もありますね)という作品がありましたが、観ながらちょっとそれを思い出しました。

冒頭から、その家に住んでいた家族たちが"何者"かに殺されるショッキングなシーン。
その後、都会から引っ越してきて何も知らずその家に住むことになったある家族。
娘は問題を起こし、幼い息子は口がきけず・・・この家族もいろいろ事情を抱えているらしい。
途中幾度となく出てくるおびただしい数のカラスの大群。
そして─。見える者には見えてしまうゴースト。

主人公はあの「パニック・ルーム」でジョディ・フォスターの娘役を演じてたクリステン・スチュワート。
久々に見る彼女は随分大人っぽくなって、そして女性らしく美しく成長しているなぁと感じました。

カラスが沢山出てくるところやゴーストの登場のさせ方など、一昔前のホラー映画に見られたような不気味さが漂って、最後には家族愛などもあったりなかなか良いと思いましたが、兎にも角にもこの映画を"観た順番"が悪かった・・・デス。
(これは自分への反省)

こういう映画の雰囲気は絶対にキライではないんだけどね。



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キリング・フィールド

Photo

THE KILLING FIELDS

【1984年製作 アメリカ】( 136min )
監督:ローランド・ジョフィ
出演:サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチ


70年代、クメール・ルージュ(赤いクメール)による内乱渦巻くカンボジアを舞台に、アメリカ人記者とカンボジア人助手の絆、戦場の恐怖を実話に基いて描いた作品。


※ネタバレあり


映画が始まって数分後にいきなり強烈な爆撃シーン。ジャーナリストはこんなにも危険な目に遭いながら取材をしなければいけないのか・・・
思わず日本人のジャーナリストがミャンマーで射殺された事件を思い出した。

民族間の紛争など、内側から発生する問題はその国の中で解決できれば本当はいいのになと思う。
長い歴史の中で領土を奪いあったり、同じ国の中で民族同士が争ったり・・・人間は昔から様々な理由で争いごとを続けています。
けれどごく一部でもこの国のポル・ポト派のように、表面はカリスマ的指導者でも中身は昨今他の国に見られるようなテロリストらとなんら変わらない独裁者がいる国では、間に誰かが入らなければ・・・外側から多少の犠牲は覚悟の上で武力行使(本当は暴力はキライですが)等の圧力をかけなければ・・・やはりダメなんでしょう。

しかし"救助するだけのニクソン主義"は結果的に、彼ら民衆を最悪の方向へ向かわせてしまった。
中途半端な救助だったら・・・しない方がマシです。

カンボジア人で主に通訳として同行していたプランが他のアメリカ人ジャーナリストらと一緒に国外へ脱出できなくなってからが、この映画が"映画として"面白くなってくるところです。
過酷な労働に耐えながら、クメール・ルージュから逃げようとするプラン。捕らえられ処刑されそうになりながら、幹部のひとりの息子ら数人と逃げ出します。
そしてついには、シドニーと無事再会を喜び合うのです・・・


この映画の音楽を担当していたのが、かの大御所イギリス人ミュージシャン、マイク・オールドフィールド(映画「エクソシスト」でも有名ですね)。
彼の音が素晴らしく、この映画により一層の緊迫感をもたらしたように思います。


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仮面/ペルソナ

Persona PERSONA

【1967年製作 スウェーデン】( 81min )

監督:イングマール・ベルイマン
出演:ビビ・アンデショーン、リヴ・ウルマン

大女優エリーサベットは舞台出演中突然台詞が出てこなくなり、そのまま失語症で入院した。女医の勧めで看護婦アルマと共に海辺の別荘での療養生活が始まる。2人だけで生活をするうちに、お互いの精神と肉体は感応するようになるが…。


ペルソナとは、本来の自分とは異なった性質(性格)のもの。“仮面”─それを心理学用語ではペルソナと呼ぶらしい。

これって…誰にでも当てはまりそうな気がするんですよね。

例えば、新しく入った会社で自分をよりよく見せたい…上司に自分を評価してもらいたいとか、好きな人が身近にいる。で、自分を好きになって欲しい…と、あの手この手でいろんな行動に移してみるとか(笑)

私は心理学の専門家じゃないので詳しくは判らないけれど、誰にでも「仮面」はあるのでしょう。

この映画のエリーサベットのような女優という職業だったら…例えば…

私だったら、看護婦アルマが言うように「あなたはいいわね。いろんな役を演じられるから」って、恐らく単純に羨ましいと思ってしまうと思います。

でもエリーサベットにとっては「いい人を“演じ”続ける」ことによって、それが苦痛以外何ものでもなくなってしまう。

息子を産んだ事実も…
単に彼女が女優として足りなかった“母性”の部分を補うものでしかなかった。

それって…
もし息子自身がその事実を知ってしまったら、それこそ救いようのない残酷な現実を突きつけられることになるんでしょう。

彼女は様々な「現実」を理解しつつ、結局黙ることによって自分をコントロールしようとした─。
自分の中にある秩序を「沈黙」によって保とうとしたけれど、女医や看護婦のアルマは決して見逃さなかった…。

でも…だからといって、アルマのように「私はあなたとは違う。あなたのように冷たくはない。人は見捨てないし、あなたのようには決してならない!」と、私だったら・・・果たして胸を張って言い切ることができるでしょうか?

この映画を観終わって様々なことを考えさせられてしまいました。


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隠された記憶

Chace CACHE

【2005年製作 フランス】( 119min )

監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジュリエット・ビノシュ、ダニエル・オートゥイユ、モーリス・ベニシュー

普段辛口なことはなるべく自分のブログには書かないようにと心がけているつもりだけれど、今回ははっきりと言わせてもらう。

*もしこの作品が好きだという人はここから先は読まないで下さい。多分不快な気分にさせると思うので*

作品を観終わった感想を率直に言うと個人的にはただ不快感が残るのみ。
この映画が好きだという人には本当に申し訳ないが、恐らく一生私には理解できないと思う。
“理解する”の意味がちょっと違うかもしれない…別に作品そのものにケチをつけている訳ではない(正直この映画は好きではないが…)。

映画は人それぞれ好みがある。それはよく分かる。実際この映画は賞も取っているらしいのだが、そんなことはこの際全く関係ない。何様と思われるかもしれないが、敢えて声を大にして言いたい。「私はこの映画を映画だと認めない、認めたくはない」。

内容は謎解きのあるサスペンス映画のようにも思えるし(私自身も1箇所だけ驚いたシーンがあった)、社会派ドラマっぽい作りでもある。
訳もなくやたらと長いワンカットで撮られたシーンもある(これが観る人によっては素晴らしく感じるのだろうか?甚だ疑問が残る)、解釈しづらいシーンも確かにある。「何故?一体誰がこんなことを?」などと観た人は少なくとも1度はそのように感じるシーンがあるに違いない。


が、実際そんなことはどうでもいい

監督のインタビューなんて見なければ良かった・・・


私自身がこの映画を“否定する”一番の理由。


それらが全て“観客のイマジネーションに委ねられる”


私自身がこの映画を観終わった後で“気分が悪くなった理由”はそこにある。


ハネケ監督自身のインタビューによれば「この映画の謎は、映画を観た人がそれぞれ自由に解釈してもらえばいい」と言っている。

誤解しないでもらいたいのだが、私はオチがある映画が観たいとか、オチがない映画はダメとか映画に関してそういう考え方はしていない。
強いて言うならば、映画にはいろんな映画があるものだと思うし…たとえオチなどなくとも、監督の拘りとか作品に対する想いなどはあるべきで、それらは例えば映画を観る側にとって楽しみであったり、何かしらの感情が動くものだ・・・面白い。つまらないなど本当に何でもいい。

はっきり言ってしまうが、ハネケ監督はかなりの確信犯ではないのか。

この映画に関していえば、謎の答えが見つからなくたって別に構わない…
しかし、ハネケ監督自身は「観客がどのシーンをどう観ても解釈しても構わない」という様に、俄には信じがたい発言をしていることに私はすごく腹を立てている
良い見方をすればそういう映画は自由度の高い映画ということになるんだろうが、自由っていうのは、そもそもある程度のルールに基づいて然るべきものじゃないのか?

もしも世の中の全ての映画監督が彼のような考え方で、またこのような映画ばかりだったら、私は間違いなく映画を観ることはなくなると思う。

時間の無駄。



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キラー・アンツ/巨大殺人蟻の襲撃

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【2004年製作 アメリカ】( 89min )

監督:フレッド・オーレン・レイ
出演:C・トーマス・ハウエル、ステラ・スティーヴンス、シリ・バラック

遺伝子操作のミスによって生まれた巨大蟻が人間を襲うパニック・ホラー。

ヤバすぎです…これ…
何とちゃっちぃ蟻ちゃんの模型(?)でもまぁこういう映画はそこがいいんだよ~10人観たら10人が恐らく「この映画はダメや~アカン><」というところだけど、中には物好きがおるもんで…それは私です(笑)
その辺のコメディ映画観るよかずっとおもろい。意外と笑いました。一応コメディ映画ではないんだけど…^^;

例えば、冒頭の方。
とある植物園に植物相(よく知らんがアメリカにはあるんですね)が植物の違法取引を追っていて農務省からとある女性捜査官が派遣されてくるのだが、このルセロ捜査官。「少し前までFBIにいた」などと言いながら側に死体があると気絶するという特技(?)の持ち主。その倒れ方がベタ過ぎですが、この映画の中でも幾度となく倒れてます(笑)で、周囲に彼女は「死体を見ると気絶する元FBIか」と思われるんですよね^^;クドイようですがこの映画は決してコメディには分類はされてませんのよ^^;
このオネエちゃんには気絶以外にも笑えること沢山!
ギ酸?何それ?死体にギ酸?だから何?的な表情もおもろかった。
ホンマね~「アンタはホンマに元FBIかいっ!」とツッコミ入れたくなっちゃいます。そもそもこの映画は設定からして無理ありすぎやねん(^^;

他にオフィスビル内で素晴らしい(?)おばちゃまが出現。名はジョーン。一応彼女はある会社のボスですが、口が悪くプライドが高く…というホンマしょーもないオバチャン。しかしこのジョーンなかなか強い!口で言ってるだけで全然活躍しないオバチャンよりマシです。
例えばこのオフィスビル内に巨大蟻が出現するシーンでのこと。助手のシャロンがコーヒーを淹れにキッチンへ。なかなか戻ってこない彼女を呼びにキッチンへ行くジョーンおばちゃま。巨大蟻が目の前にいて動けないシャロンを余所目に戦う(笑)持っていたゴルフクラブで「このアリンコめ~」とか言いながら突き刺す(恐ろしい~)「信じられない。こんな大きな蟻見たことない!」とパニクるシャロンの台詞はよ~く分かります。フツーそーだろ。誰だってドデカイ蟻なんて見たら失神しそうになるだろ~。ところがこのジョーンおばちゃんは転んでもタダでは起きないタイプ。「まぁ、中には例外もあるのよ~。行きましょ」オイ!それだけかい^^;;流石ジョーンおばちゃま凄い人です(笑)

とまぁ…下らないことをベラベラ書いてしまいましたが、本当に下らない映画なので^^;
とか言いながら最後までキッチリ観てる私ってば…
ぶぅが言ってましたが「こういう映画があるからこそ黒澤映画のような映画がより一層面白く観れるのでは?」
なるほどねぇ。比べては大変失礼かなという気もしますが、そうかもしれません。
↑に挙げたようにぜんぜん怖い映画でも何ともないので、きっとお子ちゃまでもオッケーな映画ですよん。

余談ですが、この映画にはC・トーマス・ハウエルが!!!!!
こちらの方が実は驚き~桃の木~でしたが…^^;;
暫く見ないうちに何とこのようなB級通り越してC級?Cマイナス?映画にも出ていたとは…しかも元車泥棒の役(一応主役級だけど)で(T0T)
 

 
 
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機械じかけのピアノのための未完成の戯曲

Neokonchennaya_pyesa_dlya_mekhanicheskog

NEKONCHENNAYA PYESA DLYA MEKHANICHESKOGO PIANINO

【1976年製作 ソ連】( 102min )

監督:ニキータ・ミハルコフ
出演:アレクサンドル・カリャーギン、エヴゲーニャ・グルシェンコ


最初は「やたらと長ったらしいタイトルの映画だなぁ」としか思っていなかったんですよ(笑)
でもこの映画は有名な作品だったのか、何故かタイトルだけは頭にインプットされていたようで知っていました。今までなかなか観る機会に恵まれませんでしたが、丁度行きつけのビデオ屋にもありまして、よくよく調べてみたらチェーホフの戯曲を基に映画化されたということで観たわけです。
もっともチェーホフについて殆ど知らない私ですが…まともに読んだことないし。ロシア文学には(にも?)疎いんです。知ってることといえば彼の有名な戯曲である「櫻の園」が、好きな漫画家の吉田秋生の作品にも出てきたな位の知識しかありません(^^;)む、無知ですみませ~んm(_ _)m

予備知識がないままだから、新鮮な目線で映画が観れたのかなぁと思います。
チェーホフという人はどうやら物語の焦点を人物中心に描くのがお好きな方のようですね。
だから彼の作品は映画にも向いているんでしょうねぇ。いえやっぱり舞台かな。
登場人物が最初誰が誰でとか正直言って把握しづらかったのですが、それでもなかなか興味深く観れました。
貴族たちの自由奔放な生活ぶりを垣間見たような・・・これはやっぱり喜劇なんでしょうがユーモアの中にも人間の悲哀みたいなものも感じられて、それぞれの人物像がとても上手く描かれていたように思います。そうですね。やっぱりこれは映画の中の舞台でしょうね。一応ドタバタ劇の結末はあるんですが、基本的には貴族たちの他愛のない会話や日常何気ない出来事を主に描いているだけで、それだけでも十分に楽しい映画でした。

それに映像がとても綺麗。ちょっと前の作品だからなのかもしれないんですが、カラー作品なのにちょっと色褪せた感じがまるでロートレックとか何かの絵画を見ているような感じがしました。
驚いたのはこれはソ連政権崩壊前の作品だということです。今のロシアだったら分かるような気もするんだけど…



 
 
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カッコーの巣の上で

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ONE FLEW OVER THE CUCKOO'S NEST

【1975年製作 アメリカ】( 129min )

監督:ミロス・フォアマン
出演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、ダニー・デビート


名作と言われているようなこの映画に対してあれこれと口を出すのは、今更憚られる気がするけど、私自身は人間のモラルそのものが問われそうな映画だなと感じました。
主演のJ・ニコルソンの演技は勿論素晴らしいけれど、彼自身他の映画でも狂人を演じていたりと、なかなか個性的な役どころも多い気がするので、この映画の彼は見事というよりハマリ役。自然にマクマーフィを演じていたなという印象が強いです。それだけ役になりきれたということなんでしょうが…。

─この人は狂人で、この人は正常─ 
なんて一体どうやって判断できるものなのかな?何が基準なんだろう?
誰が見ても明らかな場合もあるでしょうが、普段の生活からは全然気づかなくて、ある時だけなんていうのもあるかもしれないしなぁなんてね。

この映画の中でニコルソン演じるマクマーフィは、刑務所の中での強制労働から逃れたくて、精神異常者を装いこの病院にやって来て、他の患者たちと交流を深めていって・・・。

ニコルソンは勿論ですがこの病棟の婦長役のL・フレッチャーもなかなか強烈な個性で見せてくれました。
いや本当に・・・彼女を見てたら心底憎たらしいと思ってしまった。
彼女の出演作をいくつか観ていて、つい思い出したのは「屋根裏部屋の花たち」に出てくる祖母の役。
「カッコーの~」の婦長も、「屋根裏部屋~」での血の繋がった孫たちを屋根裏部屋に閉じ込めるという鬼のような祖母も、両方の役柄どちらにも共通しているのは、決して感情的ではなく、常に冷静沈着で、傍から見れば「この女の人は一体何を考えているんだろう?」というような役どころで、存在感が凄かった。

改めてこの映画を観たら、患者役で脇を固めてた役者陣もかなり豪華で驚きです。
映画自体も確かにスゴイけど、最近でも一線級で活躍する人がちらほら。
クリストファー・ロイドでしょ、ダニー・デビートでしょ、日本ではあんまり馴染みない気もするけど個人的に好きな役者のブラッド・ドゥーリフなど。
あとインディアンのチーフ役ウィル・サンプソンもこの映画の中では重要な役どころ。演技がどうのとかではなく、この人の持つ個性というかが見事に生かされた感じ。

精神病棟のようないわば世間から隔離され一定の規律ある生活を余儀なくされる・・・もしそんな境遇に自分が置かれたら?
正義とは?そして悪が何なのか・・・人は何のために生きているのか・・・などといろんなことを考えさせられる映画でもありました。




 
 
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暗くなるまで待って

Wait_until_dark WAIT UNTIL DARK

【1967年製作 アメリカ】( 108min )

監督:テレンス・ヤング
出演:オードリー・ヘップバーン、アラン・アーキン、リチャード・クレンナ
 
 
オードリー・ヘップバーンといえば、私が好きな作品は「ティファニーで朝食を」と「シャレード」なんだけど(え!?「ローマの休日」は?ってツッコミ入れられそうだけど)、この「暗くなるまで待って」。なかなか面白かったです^^
「麗しのサブリナ」のように、とっても可愛くって恋する乙女じゃなくったって、たとえジバンシィの服を身に着けていなくったって、やっぱりオードリーはオードリーなんだ。


※ネタバレも時々あります。注意してね※


内容は、夫サム(エフレム・ジンバリスト・Jr)が空港で見知らぬ女リザから謎の人形を預かったことから、オードリー演じる盲目の主婦スージーが事件に巻き込まれていく・・・といったお話。

何しろこのスージー。目が全く見えないということで、それだけでもかなりのハンデです。もし自分がこんな目に遭ってしまったら・・・ゾォ~{{{{{+_+}}}}}
まぁ考えようによっては、目が見えなかったから、殺しの対象にはなかなかならなかったのかな?とも思いますが…だってね~いきなり家に帰ってきて、見知らぬ男たちが家の中にいて、それに気づいたりしたら・・・普通はそこで殺されてしまうもんね。

3人の怪しい男たち。
彼らが言葉巧みにスージーに近付いていって、何とか人形を取り戻そうとあれこれ試行錯誤。
マイクは、サムの友人になりすまし、カーリノは刑事、そしてもうひとりロート(実はこいつがホンマに悪いやっちゃヾ(`ε´)ノ)が妻を取られたとか何とか話をでっち上げ、老人とその息子を演じ…。
と、映画の中で彼らは「芝居」をするわけです。

スージーには結局見られることはないから、言葉だけの“演技”でいいわけで、彼女の目が見えないのをいいことに、部屋の中で怪しい行動を。例えば冷蔵庫の上を頻繁に触って側にあるブラインドを開け閉めして仲間に知らせる行動など、観ているこちら観客側は、そんな彼らの行動を観ながらオードリーに何とか危険を知らせる手立てはないものかとハラハラ・ドキドキの連続なわけです。

映画のプロットはとても巧みで、よく出来ている作品だなと思います。
サスペンス映画には大切な要素だと思うのだけれど。
映画の中で伏線をいろいろ張り巡らす、これ大事です。

例えばサムが仕事に出かける際、スージーが「冷蔵庫のコンセントはどこにあるの?」と聞いた時、夫のサムが「君が見つけろよ。グロリアには聞くな」というシーンがありますが、これが話の終盤に生きてくるのです。

彼ら悪人ども唯一の汚点は、スージーが盲学校で№1の優秀な生徒だということをしっかり認識していなかったことでしょう(笑)
盲目の人は目が見えない代わりに、聴覚が発達しているんだって全く気づかなかったんだろうか…
犯人のひとりロートが老人とその息子に変装して家にやってきた時、彼女は目が見えない代わりに、彼の階段を降りる音で老人と息子が同じだと恐らく気づいていただろうというシーン。
この後彼女がマイクにそれを伝えるのですが、あのオードリーの表情ひとつで「ん?これは何か変だな」って観客も気づくところ。またカメラもロート(息子)の足元をわざとクローズアップしたりなんてね。

オードリーは盲目の役どころを本当に見事に演じていると思います。
見えない・・・これはすごく難しい役ですよね。
最初から最後まで意識してましたが、瞬きすらなかった。

映画の中で場面が変わらない。冒頭のシーン以外はずっとスージーたちが住む家なんです。
舞台でも観ているようなそんな感覚にさえなりました。

とにかく、美しくって可愛いだけじゃないオードリー・ヘップバーンの映画。
未見の人はオススメです。
 
 

 
 
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