ヒストリー・オブ・バイオレンス
【2005年製作 アメリカ・カナダ】( 96min )
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート
インディアナ州のとある町でダイナーを営むトム(V・モーテンセン)は妻と息子、娘の4人暮らし。ある日平穏だったトムの店が2人組の強盗に襲われるが、トムの迅速な行動により強盗犯らはあっけなくトムによって倒されてしまう…
※ネタバレあり※
オープニングからいきなり2人組の男たちによる暴力的な描写の映像を観てしばし圧倒される。
ワンカットで撮るシーンがあったりクローネンバーグの拘りみたいなものが随所に感じられる。
その後場面は一転してのどかな田舎町へと変わる。どこにでもいそうな幸せそうな家族の風景。
“バイオレンス”前の幸せな家族に対するささやかな贈り物といった感じか。
クローネンバーグの映画は時にしてしばし私を憂鬱にさせる。
彼の映画はいつも容赦ない。どんなテーマにしても何というかとにかく徹底しているのだ。
今回もひょっとしたら映画の後トコトン“落ち込んで”しまうんじゃないかと最初は懸念していたのだが、実際そうでもなかった。そういう意味では意外と“普通”の映画だったが、暴力描写はなかなか強烈だ。
冒頭の方に出てくる強盗犯や悪役に徹したW・ハートも良かったが、何といってもE・ハリス。彼が物語の途中まではかなりの存在感で悪役ぶりを見せ付けてくれたように思う。
主人公のトムは、映画が始まった頃は普通のどこにでもいるようなダイナーの主人であったが、映画が終わる頃にはそうではなく、次第に相手を次々と倒す猛者へと変貌を遂げていった…。
最も彼の過去に何があったのかは映画の中で分かるところだが、彼はマフィアというよりも、まるでどこかの国の秘密工作員か何か特殊な教育を受けたのではないかと思わせるような身のこなし。まさに殺人マシーン。とにかく隙がなさ過ぎる。流石にこんなに次々とたったひとりで強そうな男たちを倒したら…一度きりならともかく二度三度となると周囲は驚きを隠せないだろう。
暴力を扱った映画だが、この作品のテーマは暴力そのものに重点を置いたのではなく、内側から暴力を抉った映画だと思う。
暴力の果てには一体何があるのか。
ある日を境に家族から得た信頼を全て失うような場面に直面した時、普通の生活をしていた者はその後どのような人生を生きれるものなのだろう…。
ラストはいろんな解釈があるかと思う。
家族で食卓を囲むシーンは圧巻だった。
娘はまだ幼く無垢であることから父親が帰ってきたのが素直に嬉しいんだろう。
息子はそれまでの人生に於ける父親像と一方で別人である父親を比べて、彼なりにいろいろな葛藤が生まれるだろう。
両手を組み下を向いたまま視線を合わせずやっとの思いで夫に目を向けた妻。彼女の想いは一体どこへ向うのか。
家族はそのまま“半ば別人になってしまった彼を受け入れるのかどうか”…は分からない。
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コメント
「ビック・フィッシュ」という映画がオススメです。見てなかったようなのでもし良かったらぜひ。
投稿: モモ | 2008/08/15 19:26