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大地のうた

Pather_panchali_1

PATHER PANCHALI

【1955年製作 インド】( 125min )

監督:サタジット・レイ
出演:シュビル・バナージ、カヌ・バナージ、チュニバラ・デヴィ
  

ベンガル北部のとある農村に住むひと家族を通して、モノクロの画面から映し出されるインドの人々の生活は、偽りのないストーリーだと感じた。
これが真実かどうかは、私にはインドに関する知識があまりないのではっきりとしたことは言えないけど、少なくともここに描かれている彼らに嘘はない

映画の舞台はインドのベンガル北部のとある農村。そこに住む少年オプーと両親、姉ドゥルガ、年老いた叔母を中心に描かれている。
父親は元々裕福で学のある人だったらしいが、今は借金を抱え、この家族の生活は決して楽なものではない。
またこの父親は人は良さそうだが、いかにも現代にいる所謂「お坊ちゃま」な感覚の持ち主であるということが、彼の言動からもよく分かる。
「私には学問がある、古典も知ってるし書ける。今は生活は苦しいが何も心配することはないんだ」と。
日々の食べ物さえもろくに食べられず、娘も息子も満足に着るものさえないというのに。
そんな父親に不満を持ちながらも従う母親。娘は近所の農園から果物を盗み、と暫くはこの家族の日々の生活が淡々と綴られていく。
事件らしい事件はストーリー中盤過ぎまでないが、彼ら一人ひとりの個性がよく映し出されている。

ある日、姉のドゥルガが友達の首飾りを盗んだのではと近所に住む農園主夫人から疑いをかけられた辺りからは、待ってましたとばかりに観る者をぐいぐいとストーリーの中に引き込んでいく。
暫くすると父親が仕事で遠くに出かけていく。すぐ帰るはずが結局5ヶ月以上も家を空けてしまうことになる。
元々苦しい彼らの生活は更に苦しくなっていき、一緒に住んでいた居候の叔母の家出や死。
そして、姉ドゥルガの突然の死など、美しいインドの自然とともに鮮明に描かれている。
この姉の死後のストーリーは、本当に素晴らしい。
娘に先立たれて苦悩する母親、遠出から帰ってきて娘の死を知り愕然とする父親、彼らを取り巻く近所の人々など、映像やストーリーの素晴らしさもさることながら、バックで流れる音楽(シタールや打楽器)が、最高にストーリーを盛り上げてくれた。
終盤で、このオプー一家が家を出て行くシーン。
近所に住む意地悪だったはずの農園夫人の台詞。
「1ヶ所にしがみついて生きていると、世間が狭くなる。私みたいに心の狭い人間になるわ」と─。

「大地のうた」は、インドの自然を通して強く生きていこうとする「人間のうた」かもしれない。



 
 
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コメント

深い内容なんですね
インドは天と地ほどの差があるそうですね

お釈迦様生誕地ですが・・仏教徒は・・ほんの少しです
寂しい限りです・・

投稿: ほり | 2006/11/21 19:57

  貧しさ、ふとした出来心での盗み、そこから運命はどんどん展開していく。人間の罪と苦しみ。深いテーマですよね。物への誤った欲望から苦しみが生じる。
とても深いテーマです。救いはインドの素晴らしい音楽と自然描写とか。映像が浮かんでくるようなリザフィたまの紹介。素晴らしいですね。

投稿: りぼんたん | 2006/11/21 21:58

考えさせられる内容ですね。

学問も、古典も書けても、食べられない家族がいたら意味ないですよね。

胸がきゅんとなりました。

投稿: かじゅーん | 2006/11/21 22:20

こんばんは~♪

>ほりたま

インド。
一度行ってみたいと思ってたことありましたが、まだ願いは叶ってません。
ダンナの友人の中には、インドへ行ってそのままいついちゃって帰ってこなくなった人もいるそうです(笑)
逆に「もう二度と行きたくない」なんていう人もいたり。
本当に不思議な国ですよね。
ほりたまは普段仏教に接しておられるので、やはり釈迦の道を歩いてみたいとお思いになられるんでしょうね?^^

インドはハイカーストからローカーストまで本当に凄い格差があるんだろうなって思います。

この映画の中ではそんな貧しい人々が暮らす農村地帯が舞台でしたが、この映画も公開に至るまでには、国かなどに反発を受けたらしいと聞いています。
私などからは想像もつかないような苦労があったのですね。

お釈迦様生誕の地なのに、仏教徒って少ないんですか?
それは知りませんでした・・・意外です。


>りぼんたま

人間をテーマにした話は、本当に尽きませんよね。
そして、とにかく深いです。
沢山の人がいるように、その数だけ様々なドラマがあるんだろうなって思います。

この映画が本当に凄いなって思ったのは、上段の方に書いてある、この「偽りのない」ということです。
狙ってこの作品を作り上げたにしては、本当にそれを強く感じたので、それらを描ききったこのサタジット・レイという監督さんはただただ凄いなと。
お涙頂戴映画というわけではないのに、終盤では久々に涙が止まらなくなりました。
多分誰がこの映画を観ても私と同じ様に強く感じるのではないかなって思います。

そして本当に音楽の使い方がとっても素晴らしいです!
いかにもインドっぽい雰囲気を漂わせながら、映像とすごくマッチしていて、なんていうか詩を見ているみたいなそんな感じがしました。

いつもお褒めのことば有難うです^^
いつか自分でも納得できるような記事が書けるよう頑張ります♪


>かじゅーんたま

本当にそうですよね~(×_×;) シュン
食べて生きていくってこんなに難しいこと、凄いことなんだなって改めて思い直した映画でもあります。
昨今の日本では、イジメによるものから、指導する立場である先生、サラリーマンの自殺などなど、簡単に人って死ぬんだ?って思ってしまうような事が続いていますが、死ぬってことを軽々しく口にするもんでもないって、この映画観たら、死のうとしていた人もきっと悟ると思いますよ。

そうそう、かじゅーんたま。
この家族の父親が終盤、家族が家を出て行くところでいう台詞(↑には書いてないけど)
「学問をしても何も役に立たず、息子に勉強もさせられず、娘には先立たれ、すべて絶ち切って出直したいんです」

この父親も、いろんなことがあって、やっと家族のことを理解したのですね。

投稿: りざふぃ | 2006/11/21 23:37

こんにちわ!
大地のうたって物モノクロ映画ですか?
インドは行ったことはないですが
タイだったら3回くらい行ったことがあります~

投稿: buru | 2006/11/22 10:25

>BURUたま

こんちぃ~^^
そうです~モノクロ映像で、しかも画像の質はよくないです…。
古い映画だということもあるんでしょうが(何せ50年くらい前のインド映画だし)、製作費が足らず、時間を掛けて出来上がった映画だそうなので。

今観ても…というか殺伐したこの世の中の今こそ、これを観て改めて人間を見つめ直すそんな映画だと思ってます^^
なんてまたエラソーなこと申しまして…
つい映画になると熱くなる傾向が(笑)

お~
タイに3回ですか~^^
私は行ったことないです~タイ料理大好き♪
(って結局食べ物かよ!おいっ^^;)

投稿: りざふぃ | 2006/11/22 15:58

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